(その1)からのつづき
7-1 ライオン狩り (つづき)
CSS 7:7 それ(it)がおこらなかったらよかったのに
「それ(it)がおこらなかったらよかったのに。ああ、それ(it)がおこらなかったらよかったのに」
とマーゴットが言った。
それ(it)は何を指しているのでしょうか。
人称代名詞の it は、『オセロー』においても悩ましい代名詞です。次のような例 があります。
Let it alone. (Othello, 3.3.288)
It is the cause, it is the cause, my soul; (Othello, 5.2.1)
この短編のこの場面ではどうでしょうか?
① 夫マカンバーがライオンの前から逃げ出したことを指している?
② 自分が梅毒に感染してしまったことを指している?
この時点での文脈からすれば①を指している、というのが自然な解釈です。
しかし、それは表面的な解釈です。すでに、ウィルソンの「とても赤い顔」に注目していたマーゴットですから、最も気にしていることは、自身が梅毒にかかってしまった(らしい)ことです。それ(it)とは梅毒罹患をも指しているのです。(cf. CSS 25:18, 26:26-27)
このマーゴットの心境と似ているのが「ある新聞読者の投稿(One Reader Writes)」(CSS 320-321)の婦人です。彼女の夫は軍務で上海に派遣され(1929年)、そこで梅毒( ‘sifilus’ と発音される病気、と彼女は書いています。syphilis についての知識がほとんど無いのです)にかかってしまいました。夫は帰国しましたが、現在(1933年2月6日)治療中です。彼女の父親は、あんな病気にかかるくらいなら死んだほうがましだ、としばしば言っていました。
ああ、イエス様、夫がそれ(it)にかからなかったらよかったのに。・・・
でも、イエス様、夫がそれ(it)にかからなかったらよかったのに。・・・
CSS 7:8-9 彼女の両の肩(shoulders)が震えていた(shaking)
マーガレットは声を出して泣いていたわけではないが、両の肩が震えているのがマカンバーとウィルソ
ンには見えた
マーガレットは泣き声を出さないように理性的にこらえていましたが、両の肩が震えるのを抑えることはできませんでした。(cf. CSS 28:10 crying )
梅毒トレポネーマが血流に乗って両肩に達し、そこでその特有の運動をしています(shaking)。二期梅毒の症状のひとつである発赤が発現していたと思われます。それは軍医であるリナルディ(Rinaldi)が言及していた症状です。
最初に・・・小さな吹き出物(a little pimple)。それから両肩のあいだに(between the shoulders)
発赤(a rash)が認められる。(『武器よさらば』(A Farewell To Arms, chapter 25, p. 175))
CSS 7:9-10 彼女が着ていたバラ色の、太陽光線をさえぎるシャツ
マーガレットはバラ色のシャツ(rose-colored shirt)を着ていました。それは肩や体幹に出現したバラ疹(roseola, rose spot)を隠すためです。太陽光線をさえぎる(sun-proofed)シャツを着ているのは、肌がさらに濃いバラ色になるのを防ぐためです。
彼女のバラ色の肌を確かめるためにはそのシャツを脱いでもらわなくてはなりません。(cf. CSS 6:17 hung, 19:30 Topping)
シャツの下(under … shirt)には重要な情報が隠されています。
『老人と海』では、亡くなった妻が隠されています。
変色した妻の写真が、老人の清潔なシャツの下にありました。(The Old Man and The Sea, p.16)
CSS 7:12 神経(nerves)がたかぶっているのだ、あれやこれやで
マーゴットが泣くために自分のテントに向かった後、ウィルソンは「どうってことない。彼女は神経が高ぶっているのだ、あれやこれやで」と言います。
マカンバーは「いや、ああやって俺を一生臆病者扱いにしていたぶるんだ」と否定します。
マカンバーの受け止め方にも一理ありますが、「赤い顔」を話題にすることを禁じられたくらいで、マーゴットは泣く必要はないでしょう。ウィルソンのことばの方により多く注目すべきでしょう。マーゴットはあれやこれやで神経が高ぶっているのです(Strain on the nerves)。
梅毒にかかってしまって心配でたまらない上に、夫が醜態をさらしました。気の強いマーゴットでも神経が参ってしまうでしょう。
一方、「神経が高ぶっている」と言ったウィルソンの中枢神経は梅毒トレポネーマに侵され、神経梅毒(neurosyphilis)の一症状を呈しています。その症状とは、アーガイル・ロバートソン瞳孔(Argyll Robertson pupil)です。アーガイル・ロバートソン瞳孔については、CSS 8:33 を参照ください。
CSS 7:15 ジャイアント・キラーを飲みましょう
「マカンバーさん、ジャイアント・キラーでも一杯(a spot of giant killer)飲もう(have)ではないか」
とウィルソン。
次の二つの解釈ができます。
① 強い酒(例えば、ウィスキー)を一杯飲もうじゃないか
② 俺たち二人して梅毒にかかろうじゃないか
上記①は表面的な解釈です。②は、巨人をも殺すことができるもの、すなわち、梅毒(梅毒の斑点:a spot)、に感染する(have)とも解釈できます。妻が梅毒にかかっているのですから、マカンバーも梅毒に感染するのは予想できることです。
CSS 7:15-16 何もかも忘れちまえ
「忘れちまえ(Forget)」は「記憶していろ(Remember, memento」の反意語で、命令形(imper.)です。ともかく、どうってことないんだから、不快な(cf. CSS 10:41 unpleasant)ことはすべて忘れてしまいなさい、とウィルソンは言っているのです。このことばは、実はウィルソン自身に対することばでもあります。ウィルソンには忘れようとしても忘れることができない不快な経験があるのです。(cf. CSS 7:17, 8:41, CSS 11:4 indelibly, 「革命家(The Revolutionist)」CSS 119:3 indelible)
CSS 7:21 アカシア(acacia trees)
アカシアの樹皮にはタンニンが含まれていて、皮なめしに用いられます。
また、アカシアの花は黄色です。サルバルサンは黄色の粉状固体(固体:solid)です。ウィルソンはナイロビでサルバルサンによる治療を受けている、あるいは、過去に受けていたと思われます。
水面下に隠されている黄色ではなく、水面上に現れている黄色(yellow)についてはCSS 16:37 を参照ください。
CSS 7:30-41 われわれはみんな毎日鞭打ちの罰(beating)を受けている
最高のもの(best)を15回くれてやる、鞭打ち?(Lashes?)、鞭打ちをくらわせてやる(whipped)、鞭で打たれる(birching)、そして、われわれはみんな毎日鞭打ちの罰(beating)を受けているのだ、と「鞭打つ」が繰り返されます。
「鞭打つ」の英語が四種列挙されていますが、ウィルソンの梅毒が第四期であることを示しているのでしょうか?それとも、四種の英語がすべてゲルマン語系であるので、「列挙(enumeration: 完全リスト)」から漏れているラテン語系の語 flagellate を想起させようとしているのでしょうか?ラテン語 flagellum (鞭毛)は、梅毒トレポネーマの回転運動を駆動します。
『武器よさらば』のキャサリンは「おもちゃの乗馬用鞭のような(like a toy riding-crop)ラタンの細い、なめし皮がまきつけてある杖(stick)」を持っています(A Farewell To Arms, chapter 4, p.18)。
彼女は馬を鞭打つためにそれをもっているのでしょうか?あるいは、自分自身を鞭打つためでしょうか?あるいは、別の解釈があるのかもしれません。『武器よさらば』を論じる機会があればその際に検討させていただきます。
『誰がために鐘は鳴る』の最後で「激しく打っている(beating)」のはロバート・ジョーダンの心臓です。(For Whom The Bell Tolls, p. 471)
CSS 8:10-11 ひとりだけで(by himself)・・・食事をしながら本が読めるのに
ひとりになりたがっているのはハムレットです。ローゼンクランツとギルデンスターンをさがらせてからの台詞(第3独白)です。
Hamlet: Now I am alone. (Hamlet, 2.2.549)
ハムレット:やっと独りになれた。(河合祥一郎訳、角川文庫 p.91 )
本を読みながら登場するのはハムレットです。
Queen: But look where sadly the poor wretch comes reading. (Hamlet, 2.2.168)
王妃: あれ、あそこに、悲しげな顔をして、あの子が本を読みながら来ます。
決戦を前に、深夜、本を探していたのはブルータスです。
Brutus: Look, here’s the book I sought for so; (Julius Caesar, 4.3.252-253)
ブルータス:ほら、あんなに探していた本がここにあった!
ハムレットもブルータスも心の内に不安を抱えています。
ウィルソンも同様の不安を抱えており、ひとりになりたがっています。また、ひとりになれば、不安を紛らすために本を読まずにはいられません。
CSS 8:30 僕は兎(rabbit)のように逃げてしまった
梅毒トレポネーマの培養には家兎(rabbit)や野兎(hare, cf. CSS 9:41)の精巣が使われます。秦佐八郎や野口英世も兎の精巣を使っています。人工培地では培養できません。マカンバーの精巣は培地としては提供されておりません。彼は兎のように逃げてしまいました(bolted)ので。
CSS 8:33 ウィルソンのフラットで青い機関銃士の目
「青い目(blue eyes)」とは虹彩の色が青いということです。青い目の人は紫外線量が少ない北欧系の人種に多く、メラニン色素の含有量が少ないことを意味します。身体の肌の色もメラニン色素が少ないので白い。
機関銃士の目(machine-gunner’s eyes)
ウィルソンには従軍経験があり、機関銃士を務めたこともあったのでしょう。現在も両目の視力は正常で、すばやく動く獲物を迅速に、正確にとらえることができることは狩猟現場の様子から察せられます。急速に近づいてくるライオンや水牛に迅速に照準を合わせることができる目を持っています。両目の近見反射は失われていません。
近見反射(近見反応:near reflex)とは、近くの物体を注視したときに、調節、輻湊、縮瞳が連動して、不随意的におこる反応です。
調節(accommodation)とは、水晶体(lens)の厚みを増し(または、減じ)焦点距離を短くする(または、長くする)ことです。なお、光の屈折には角膜(cornea)が水晶体以上に大きな貢献をしています。
輻湊(convergence)とは、目(瞳孔)を鼻側に近づける(寄り目にする)ことです。
縮瞳(miosis, constricted pupil)とは、瞳孔径を小さくすることです。逆に、瞳孔径を大きくすることは散瞳(mydriasis)といいます。
目がフラット(flat)とはどのような状態なのか?
「目がフラット(flat)」はこの短編中に3回出てきます。CSS 8:33, 19:33, 28:38 の3回です。どのような目の状態を指しているのか、手元の限られた資料では flat (eyes) の定義を見つけることができませんでした。この謎を解くのは大変でした。
私なりの解を得ましたのでここに記します。
flat (eyes) とは、神経梅毒の一つの症状であるアーガイル・ロバートソン瞳孔のことです。スコットランドの医師であるアーガイル・ロバートソン(Argyll Robertson, 1837- 1909)によって、神経梅毒に特異な瞳孔所見として1869年に発表されました。
アーガイル・ロバートソン瞳孔(Argyll Robertson pupil, 強直瞳孔:rigid pupil)の主徴:
① 直接対光反射および間接対光反射の欠如
② 迅速な輻湊反応
③ 著明な縮瞳
④ その他(上記以外の症状など)
一般に両眼性である。
自覚症状は軽微である。
迅速に縮瞳するが、散瞳が遅い。
調節、輻湊は正常、視力も正常。
以下に眼科学の視点から、そして文学の視点から Flat (eyes) の意味を探った結果を記します。
結局、ヘミングウェイの作品中の記述から推測できた、ということです。
眼科学の視点から(『英和・和英 眼科辞典』第2版に掲載されている flat 関連を主に検討しました)
・flat: ① コンタクトレンズのフィッティングで・・・は関係ないと思われます。
② 角膜形状解析において、ある部位の屈折力が小さいこと・・・これも関係ない。
③ 網膜電図などで反応が消失し、波形が見られないこと・・・これも関係ない。
・flat anterior chamber: 前房消失
前房水(前眼房水)の漏出などにより、前房がほとんど形成されず、浅いこと。
これは、目の手術の失敗などにより、前房水が漏れ出てしまったときの状態です。
ウィルソンは目の(両目の)手術などした様子がありませんので、これも関係ない。
・flat cornea 扁平角膜
角膜の曲率半径が正常より大きく、角膜が扁平な先天異常。これは角膜実質混濁や小眼球などを合併する
ことが多い。これも関係ない。
角膜実質が混濁する、ということは視力の悪化は避けられませんので、ハンターには不向きです。
ウィルソンの目は、時々 flat の状態になるのであって、先天的・継続的な症状ではありません。
文学の視点から(シェイクスピア)
以下にシェイクスピア作品に出てくる目に関連する語句を記します。目関連語句は多いのですが、flat (eyes) は見つけられませんでした。
・blind, blindness, blinded, blindfold ( 目隠し)など:40回以上出てきます。
・purblind: ① half blind (The First Part of Henry the Sixth, 2.4.21)
② blind (Love’s Labour’s Lost, 3.1.179)
・sand-blind: 半盲、かすみ目(The Merchant of Venice, 2.2.36)
・high gravel-blind: sand-blind より悪化した目で、stone-blind (全盲)よりはよい。
・eyes: 1100回以上でてきます。
・blue-eyed : 妊娠のためにまぶたが青くなった(鬼婆)(The Tempest, RSC 1.2.317)
・eyes roll: 目がぐるりと上に向かって動く(Othello, 5.2.38)
・rolling eyes: (恐怖のために)ぎょろっと上に向かって動いた目(King John, 4.2.192)
・galled eyes: 泣いて赤くはれた目、炎症を起こした目(Hamlet, 1.2.155)
なお、galled goose of Winchester (Troilus and Cressida, 5.10.54) の galled は、性病による炎症(梅毒性発
赤と思われます。紀元前のトロイ戦争時の時代設定ですから、anachronism も甚だしいことをシ
ェイクスピアは平気でやります。アナクロニズムはヘミングウェイもやりますが。)を意味します。
・green-ey’d (monster): 緑色の目をした、猜疑心の(猜疑心という怪物)(Othello, 3.3.166)
・hollow eyes: 落ち窪んだ眼(The Merchant of Venice, 4.1.270)
・lack-lustre eye: 輝きを無くした目(As You Like It, 2.7.21)
・parted eye: 焦点の合わない目(複視:二重に見える)(A Midsummer Night’s Dream, 4.1.189)
・the pin and web: 白内障(cataract: かすみ目と羞明 photophobia)(Winter’s Tale, 1.2.291)
・raw eyes: ただれ目(Troilus and Cressida, 5.1.20)
・sore eye: ただれ(て痛む)目(Troilus and Cressida, 5.1.32)
・the web and the pin: 白内障(cataract: かすみ目と羞明)(King Lear, 3.4.117)
文学の視点から(ヘミングウェイ)
ヘミングウェイの作品では、この短編以外に次の3作品に登場する3人の目が flat になります。
『日はまた昇る』の主人公ブレット(Brett Ashley)の目は2回 flat になります。
ブレットはその間ずっと僕の両目をのぞき込んでいた(she had been looking into my eyes all the
time)。彼女の両目の深さは変化し、ときどき完全にフラットであるように見えた。いまやその目をず
っと中まで見ることができた。(The Sun Also Rises, chapter Ⅳ, p.34)
・・・
「そう思う?」彼女の両目はまた(again)フラットになった。(chapter Ⅳ, p.35)
上記からわかることは以下の通り:
① ブレットは「至近距離から」僕(Jake)の両眼を「ずっと」「のぞき込んでいる」。従って、ブレットの両眼には近見反射(調節、輻湊、縮瞳)がおこっていたはずです。
② 常にフラットであるわけではなく、「ときどき(sometimes)」フラットになる。至近距離から特定の対象を見る(see ではなく、look です)ときにフラットになる。
③ 肉眼で見ることができるのは、輻湊と縮瞳です。調節はジェイクの肉眼では見えません。しかし、ジェイクは、調節(水晶体の厚さの増減、すなわち、焦点深度の変化)を縮瞳した瞳孔から想像しているものと思われます。したがって、著明な縮瞳に気づいた、ということです。
このジェイクの、実際には見えるはずのないものが見えたのは「ジェイクの知識が見た」のです。その類似例が『老人と海』にあります。
9月初旬、老人には見えるはずのない星(Rigel: リゲル)が見えました(The Old Man and The Sea, p. 75)。あるいは、ジェイクや老人の「見えた」を4次元の散文と解釈することもできます。
④ そして、その著明な縮瞳は「しばらくの間続いた」ということ。両者が近づいたために暗くなった後でも(光量が減った後でも)、すぐには散瞳せず、縮瞳したままであった、ということ。すなわち光量の増減に対して瞳孔が反応していないこと(対光反射の欠如)。
「父と子」のトルーディ(Trudy)の目
ニックの女友達トルーディはニックを至近距離から見ています。まず近見反射がおこります。著明な縮瞳がおこります。その後、ニックが覆いかぶさっているわけですからトルーディの視界は暗くなり、トルーデーの瞳孔は拡大(散瞳)するべきなのに、フラットな目のままです。著明な縮瞳が続いていると解釈できます。と同時に対光反射が欠如していると解釈できます。(Fathers and Sons, CSS 375)
『誰がために鐘は鳴る』のエル・ソルド(El Sordo)の目
エル・ソルドはロバート・ジョーダンの顔を鋭い目つきで見た。ジョーダンには、エル・
ソルドの両目が猫の目のように黄色く、爬虫類の目のようにフラット(flat as reptile’s eyes are )であ
るのが見えた。(For Whom The Bell Tolls, chapter 11, p.141)
耳の遠いエル・ソルドが鋭い目つきで見た(looked ..in the face)、ということは至近距離で見たのです。したがって、見られたジョーダンはエル・ソルドの白目が黄色であることが分かりました。エル・ソルドには黄疸の症状が発現していることが分かります。
至近距離で見たのですから、エル・ソルドには近見反射がおこっています。輻湊、調節、そして著明な縮瞳。その縮瞳したまま静止し動きがない(motionless)目の状態が「爬虫類の目がそうであるようにフラット」と描写されているものと解釈できます。
ヘミングウェイの flat :「目以外」の例
『アフリカの緑の丘』
ガリラヤ湖の水面はフラットで静か、というよりむしろ淀んで見えた (Green Hills of Africa,
chapter 13, p. 294)。
この flat は、静か(calm)を修飾する強意の副詞とも解釈できますが、「流れもなく、波もなく、長い間動きの無い(motionless)水面の状態を表す形容詞」とも解釈できます。
『日はまた昇る』
小川の脇のフラットな水たまりにはオタマジャクシが水底の砂に斑点をつくっていた(The Sun Also
Rises, chapter 12, p. 121)。
この flat は、「流れもなく、波もなく、長い間動きのない(motionless)水面の状態を表す形容詞」です。
上記2例の flat は、長い間縮瞳したまま動きのない(motionless)瞳孔の状態と類似しています。
以上のことから、ウィルソンの flat な目は、アーガイル・ロバートソン瞳孔を意味しているものと解釈しました。
その3(CSS 8:44-46 以下 )につづく